三塁審について

三塁審は、基本的に一塁審の裏返しの動きで対応できます。ジャッジの機会が最も少なく、フォーメーションに加わることも少ないため、比較的難易度の低い審判と言えるのではないでしょうか。ただ、本塁に最も近い塁であるため、得点への影響が大きく、責任も重大であると言えます。また、フォース・プレーとタッグ・プレーが混ざってきますので、ランナーの状況には常に意識が必要です。

 

  1. 三塁審の主な仕事

 

   1) 三塁上のプレーのジャッジ(送球&盗塁&けん制球等)

 

   2) 左打者のハーフ・スイングのジャッジ

 

   3) 三塁線・レフト線のファール・ラインのジャッジ

 

   4) 外野責任範囲へのフライ、ライナーの捕球判定

 

   5) 外野へ飛んだ打球の確認

 

   6) タッグ・アップの確認

 

   7) 他の塁審が外野へ打球を追った場合のベース・カバー(たまに二塁)

 

   8) 攻守交代時の投球練習数確認と守備側ベンチの追い出し(早く守備につくよう促すことです。)一塁審と交代でやります。


2. 投球時のポジショニング

 

   1) 三塁に走者がいない場合

   

 三塁ベースからファウル・ラインに沿って後方へ5~7m程度のファウル・グランド側で、本塁に正対して構えます。

 

 以前はファウル・ラインをまたいで構えていたそうですが、現在はファウル・グランド側に入って構えます。

これは、打球が当たった場合に、ファウル・ボールであることを明確にするためのようです。

 

 外野手が前進守備の場合などは、レフトの選手よりも後方へ下がることのないよう、ポジションを調節して下さい。




三塁審 定位置


2) 二塁に走者がいる場合

   

 二塁走者の三塁への盗塁に備え、

三塁ベース後方3~5mの位置まで

前に出て、ホームに正対して構えます。

 

二塁ランナーのスタートには常に

注意を払っておいて下さい。

セットポジションに入ってから走って

くるとは限りませんよ。



三塁審 二塁走者あり


3) 三塁に走者がいる場合

   

 けん制球などのダッグ・プレイを確認しなければなりませんので、三塁ベース後方3~5mの位置まで前に出ます。投手のボークなども見なければなりませんので、投手-捕手の中間辺りに正対して構えます。

けん制球はいつ投げてくるかわかりません。プレートを踏んでから投げるとは限りません。くれぐれも気を抜かないようにして下さい。

また、三塁走者は少しファウル・グランドに出てリードします。左打者の場合、ハーフ・スイングの判定がありますが、走者と重なって見えにくい場合には、見やすい位置へ少し移動して下さい。




三塁審 三塁走者あり


3. ジャッジのポイント

 

1) フォース・プレーは遠くから、タッグ・プレーは近くでジャッジする方が分かりやすいです。

アウト・カウントはもちろん、走者の状況を見て三塁が「フォース・プレー」になるのか「タッグ・プ

レー」になるのかは、常に頭の中へ入れておく必要があります。

2) 原則として、送球の方向に対して

垂直(90度)の角度からプレーを見ま

す。

   三塁の場合、タッグ・プレーも多いの

 で、タッグの良く見える位置も意識して下

 さい。その場合、直角(90度)の角度は保

 てないこともありますが、そこは臨機応変

 に。タッグ後にしっかりとボールを保持し

 ているかどうかも要確認です。 

内野ゴロの場合


三塁審 内野ゴロ 位置


三塁盗塁の場合


三塁審 三塁盗塁 位置

捕手からのけん制の場合


三塁審 捕手けん制 位置


3) フォース・プレーは、走者の触塁と三塁手の捕球の音(ボールがグラブに入る音)を参考にするなど、視覚だけでなく聴覚も働かせてジャッジすると良いです。もちろん捕球音の後、確実に捕球されているかを確認する必要はあります。


3) フォース・プレーは、走者の触塁と三塁手の捕球の音(ボールがグラブに入る音)を参考にするなど、視覚だけでなく聴覚も働かせてジャッジすると良いです。もちろん捕球音の後、確実に捕球されているかを確認する必要はあります。

 

4. 内野へ打球が飛んだら

 

   1) 打球の飛んだ方向と打球の質を確認します。

 

   2) 三塁側ファウル・ライン付近の打球で、三塁ベースを越える打球に対しては、三塁審が「フェア」・「ファウル」のジャッジをします。可能な限りラインをまたいで、「Look」の姿勢からジャッジして下さい。

三塁コーチャーズ・ボックスの本塁側のラインより後方のファウル・フライは、三塁審が「キャッチ」のジャッジを行います。

 

   3)-1 必要に応じ、「インフィールド・フライ」の宣告を行います。

 

   3)-2 一塁手、二塁手、遊撃手への打球に対しては、三遊間後方の適切な位置(送球に対して垂直の位置で、フォース・プレーの場合は遠め、タッグ・プレーの場合は近めの位置)へ移動して、「Look」の姿勢からジャッジを行います。

 

   4) ベスト・ボジションに移動したら、捕球した野手の送球が三塁ベースをそれていないことを確認した上で、いったん送球から目を切り、三塁ベースに正対して「Look」の姿勢をとり、ベース上でのジャッジに備えます。

 

   5) 塁上のプレーを注視し、正確なジャッジを下します。

 

   6) 送球がそれたり、野手が他の塁に送球したため、三塁上ではプレーが行われずに、そのまま打者走者 が本塁へ向かった場合なども、走者の三塁への触塁をきちんと確認しておく必要があります。あとから「ベースを踏んでいません。」とアピールがあった場合、触塁を確認していないと、ジャッジすることができません。

5. 外野へ打球が飛んだら

 

   1) 打球の飛んだ方向と打球の種類を確認します。

 

   2) 三塁側ファウル・ライン付近の打球で、三塁ベースを越える打球に対しては、三塁審が「フェア」・「ファウル」のジャッジをします。可能な限りラインをまたいで、「Look」の姿勢からジャッジして下さい。

 外野への飛球(特に落下までに時間のあるフライ)に対しては、外野方向へ少し追ってから「Look」の姿勢をとります。

 

   3)-1 三塁審が担当する外野への打球に対しては、打球を追って外野へ走り、捕球の確認やホームランの判定などを行います。(いったん内野を離れ、外野へ打球を追った場合は「追い切り」で、それ以降の内野でのジャッジに加わる必要はありません。あとは残った審判員のフォーメーションで対応します。)

 

   3)-2 フライまたはライナーに対し、野手のノー・バウンド捕球の判定を行います。捕球すれば「アウト」のジェスチャーで『キャッチ!』、捕球できない場合は、「セーフ」のジェスチャーで『ノー・キャッチ!』とコールします。

 

   3)-3 ヒットやホームランなどで走者が三塁を回って本塁へ向かう時には、走者の三塁触塁を必ず確認します。

 

   3)-4 必要に応じ、二塁のカバーに入ります。(他の塁のカバーに入るフォーメーションについては、フォーメーションの項でご説明します。)

 

   3)-5 無死または一死 走者三塁のセンターおよびライト方向のフライへの、タッグ・アップ確認。

 

 

  6. 三塁へ盗塁があった場合

 

   1) 二塁走者がいる場合、投手の投球の際に、走者の三塁盗塁に備え、二塁走者の姿を視界の端に入れておく。

 

   2) 二塁走者がスタートを切った場合、すばやくフェア・グランド内の三遊間の位置へ移動し、「Look」の姿勢をとる。